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骨のコラム

人生100年時代の今、専門家が語る正しい骨との向き合い方

高齢化が進み、「人生100年時代」とまで言われるようになりました。

人々の健康意識は高まる一方、生活習慣病やがんなどに比べると、骨の健康を意識している人は少ないように見えます。

「骨のリテラシーを上げていく必要性はますます高まる」。骨粗鬆症の予防と治療に詳しい藤田医科大学内分泌・代謝・糖尿病内科学の鈴木敦詞先生がこう話す意味は。

鈴木敦詞 先生

インタビュー

藤田医科大学医学部内分泌・代謝・糖尿病内科学

鈴木敦詞 先生

「年を取ると骨がもろくなる」と聞きます。特に女性は骨粗鬆症になりやすいそうですが、それはなぜなのでしょうか。

女性が得意とすることがかえって裏目に出てしまう結果です。

骨は「体を支えるもの」として知られていますが、同時に「カルシウムの貯蔵庫」としても機能しています。

私たち人間は骨の中にカルシウムを蓄え、必要に応じて取り出しながら生きています。この能力には男女差があり、赤ちゃんに与えるためのミルクを作る兼ね合いから、女性の方が優れていると考えられています。

「骨からカルシウムを取り出すことが得意」という特徴は50歳ごろ、閉経を迎え始めたころから骨の健康には悪い方に作用します。

女性ホルモンの減少とともに骨からカルシウムが出ていき、閉経してから5年ほどの間に骨内のカルシウム量が急激に減り始めるのです。

骨粗鬆症を診断する際には骨の変形の有無を画像で確認しますが、女性の場合、70歳で約4割に変形が見られます。

加齢によって有病率が高まるとのことですが、生活習慣病やがんなどに比べると、「骨の健康」を意識する人は少ないように見えます。

理由は大きく分けて2つあると思います。

まず1つ目が、骨粗鬆症が国際的に定義されたのが2000年であり、医療者の間で骨の強度が注目されるようになってから歴史が浅いことです。

2つ目は治療へ取り組む意欲の低下です。「年だから仕方ない」などと高齢を理由に骨の健康への対策を施さない人が医療者を含めてまだ多いほか、高齢者が自分の健康を守っていく意欲そのものが減ってしまうこともあります。

日本人の平均寿命と健康寿命の差は約10年あり、転倒・骨折し、寝たきりの生活を余儀なくされる人が少なくないことからも、人々の骨のリテラシーを上げることが求められます。

そこでお聞きしたいのが、どんな状態であれば「骨がもろい」か。また、骨がもろくなっているとどれほどの衝撃で骨折してしまうのでしょう。

骨の強度を調べるには、まず骨密度を測ります。

骨密度は、骨の中の一定面積に含まれるカルシウムなどの量を意味しており、これが若い人の平均値の70%以下になっていることが骨粗鬆症の診断基準の一つです。

20代の人よりも骨のカルシウム量が3割減ると骨が折れやすくなると言えます。

骨がもろくなっている人の場合、家具などの重い物を持った瞬間に背骨が折れてしまうことがあるほか、「座ろうとしていたイスの高さが思ったよりも少し低かった」など、若い人からすればささいな衝撃でも折れることがあります。

特に注意したいのが、畳のへりなどわずかな段差です。

つまずいて転び、手をついて骨折したり、身体能力が落ちている人は手をつけず後ろ向きに転倒し、股関節や背骨が折れたりすることがあります。

手をつくだけで骨折することもあるのですね。骨の健康を保っていくために私たちはどうすればいいのでしょうか。

「定期的に運動し、バランスの良い食事を心がけ、カルシウムを積極的に摂取する」。
こういった一般的に言われる生活習慣はもちろん大切です。

しかし、高齢化が進むなかでそれだけでは十分でなく、薬を使う必要のある人も多いのが実情です。

鈴木敦詞 先生

そもそも、自分の身体の状態を自分で正確に知ることは出来ません。

「骨太だから大丈夫」「運動しているし、カルシウムも摂っているから大丈夫」と思う人がいるかもしれませんが、そのような自己認識が実態に即しているかは分かりませんから、医学的なアプローチが必要です。

骨密度を医療機関で測り、医師のアドバイスを受けることです。

何歳ごろから骨密度検査を受けると良いのですか。

女性の場合、ベストは50歳くらいです。そのときに異常がなければ以降は5年間隔で良いでしょう。

50歳ごろが難しくても、閉経の5年後あるいは60歳ごろに検査を受けることが望ましく、遅くとも70歳までにはきちんとした検査を受けてほしいですね。

「50歳ごろから5年おき」が望ましいのですね。骨粗鬆症は多くが無症状と聞きますが、気を付けたいサインはあるのでしょうか。

「身長の低下」「1年間の転倒回数」「物へのぶつかりやすさ」「歩行速度」は注意信号になります。

まず1つ目について、若いころに比べて身長が2cm以上低くなると、骨折が起きている可能性があります。さらに、4cm以上低くなっていると既に背骨の圧迫骨折が起きている可能性が高いです。

2つ目と3つ目について、高齢の方の場合、1年間で予期せぬ転倒が1回でもあれば骨折の可能性は上がりますし、部屋の入り口やたんすなど物にぶつかりやすくなることも注意が必要です。体の位置間隔を把握する能力が落ちている人は転びやすくなります。

歩行速度も気にかけてほしいですね。日常生活における分かりやすい目安は「信号が変わるまでに余裕を持って横断歩道を渡り切れるか」。

数字に表せば秒速1m未満は転倒リスクが上がります。

骨粗鬆症の治療は「生活習慣の改善と薬物療法の2本柱」と聞いたことがあります。薬物療法は今、どんな考え方で行われているのでしょうか。

骨粗鬆症の治療を歴史的に見た場合、そのフェーズは主に3つに分類されます。

治療が行われ始めたころは、カルシウムの吸収効率を高めようとその作用があるビタミンDを摂取する方法が主流でした。

鈴木敦詞 先生

その後、骨の健康を保つための生活指導の方法や、比較的短期間(5〜10年間程度)の効果を目指した治療薬が開発されました。これらの治療戦略は次第にブラッシュアップされていきました。

今はさらに先を見据え、中長期的なアプローチが検討されています。

人生100年時代を踏まえ、より長いスパンで骨折を予防していくための効果的な方法が議論されており、今後体系化されていくと考えられます。

最後に、読者にメッセージをお願いします。

昔は寿命が短かったため、骨が折れる前に命が尽きることも多かったわけですが、高齢化によって状況は変わりました。

何もしなければ骨折してしまう高齢者が増え、骨折により生活の質が損なわれながら人生の最期を迎えてしまう人も増えました。

そんな今、大切なのが、適切な時期に適切な方法で自分の体の状態を知ることです。自分の体の状態が分かれば、専門家の助言を踏まえて正しい対策を打てます。

骨に限らず、体に大きな問題があればすぐに回復させるのは難しいですから、やはり予防の観点が重要です。

早期の対策は健康寿命を延ばすだけでなく、若さや美しさを保っていく上でも有効でしょう。

骨粗鬆症は検査ができます。まずは、骨の健康状態を知るために検査を受けましょう。
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