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骨のコラム

女性は40歳になったら骨密度検査を意識して~女性医師が伝えたい骨粗鬆症①

骨がスカスカになってもろくなる骨粗鬆症は、女性にかかりやすく患者さんの約7割が女性です1)。「お年寄りがかかる病気」とイメージされるかもしれませんが、働き盛りの年代(40~50代)でも骨粗鬆症になる可能性はあります。

骨粗鬆症になると骨が折れやすくなってしまい、折れたときは日常生活に支障をきたします。予防する上で重要なのは、月経のある女性にいつかは訪れる「閉経」と骨粗鬆症の関係を理解し、良いタイミングで骨密度検査(骨の密度を測る検査)を受けることです。

整形外科専門医の伊藤薫子先生(女性のための整形外科かおるこHappyクリニック院長)にお話を伺いました。

伊藤 薫子 先生

インタビュー

女性のための整形外科かおるこHappyクリニック 院長

伊藤 薫子 先生

骨の健康に欠かせない女性ホルモン「エストロゲン」

伊藤 薫子 先生

骨粗鬆症は50歳以降の女性の4人に1人いるといわれていて、年齢が上がるほど患者さんの数も多くなりますが、40代の患者さんも存在しています2)。ただ、実際に診療で40~50代の方と接していると「骨粗鬆症=高齢者の病気」と認識されている方が多く、骨密度の測定結果の低さに困惑されることが珍しくありません。

高齢でなくても骨粗鬆症になる原因の一つが閉経です。月経に深く関係している女性ホルモンには、卵巣から分泌される「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2種類があります。なかでもエストロゲンは子宮や卵巣などの発育・維持や丸みのある体型づくり、肌の張りを保つといった女性らしい体をつくる働きをもつ一方、血管や骨、関節など全身の組織を健康に保つ作用ももっています。

実は肌などと同じく骨にも「骨代謝」と呼ばれる新陳代謝があり、古くなった骨を溶かす「骨吸収」と、溶かされた部分に新しい骨を作る「骨形成」を常に繰り返すことで新しい骨に作り替えています。エストロゲンは骨を溶かす細胞(破骨細胞)の働きを抑える役割があり、骨吸収と骨形成のバランスそして骨密度を保つ上で重要な存在なのです。

閉経で下がってしまう骨密度

年齢(ライフステージ)による女性ホルモン(エストロゲン)の変化

出典:厚生労働省 女性の生涯健康手帳

健康な骨を維持するためには欠かせないエストロゲンですが、分泌される量は年齢(ライフステージ)で大きく変化します。ライフステージごとにみてみると、月経が始まる「思春期」から上昇して「性成熟期」にはピークを迎えます。そして「更年期(閉経の前後5年)」にはガクッと減少していって「⽼年期」には卵巣から分泌されなくなります

閉経によってエストロゲンの分泌が減少して不足すると破骨細胞が活性化してしまい、骨形成と骨吸収のバランスが崩れて「骨吸収>骨形成」の状態になり、骨密度が低下します。若いころに食事制限を伴うダイエットをしていたり、日常的に飲酒や喫煙の習慣があったりするなど様々な要因でもともとの骨密度があまり高くない方は、閉経後に骨粗鬆症になるリスクが高まります。

※:閉経後も、体内で分泌される男性ホルモン(アンドロゲン)が脂肪組織から生成される酵素(アロマターゼ)の働きによってエストロゲンに変化するため、体内のエストロゲンの量はある程度維持されます。

骨密度検査を受けるタイミング

自分が骨粗鬆症なのか調べるためには、整形外科などで骨密度検査を受ける必要があります。ただ、整形外科は比較的通院するハードルが高いようで、

  • 「症状もないのに検査に行きづらい」
  • 「(骨密度が気にはなっているが)混んでいるなか検査だけ受けると迷惑になるのでは」

といった声をよく聴きます。また、家庭や子育て、仕事などで忙しく自分の体のことに時間をかけられない、男性医師が多い診療科であるため相談しにくい状況もあるかと思います。

とはいえ、骨粗鬆症は初期の段階では痛みなどの症状がほとんど現れません。通院をためらっている間に骨折して骨粗鬆症と診断されてしまうと、骨密度を上げるだけでなく骨折の治療も必要になり通院やお金の面でも負担が大きくなってしまいます。骨粗鬆症の予防や早期発見のためには、閉経前のタイミング(40歳ごろ)に骨密度を測定し、自分の骨の状態を知っておくことがベストです。遅くとも骨密度が最も低下するといわれる閉経後3年以内に検査することを意識してみてください。日本人女性の平均閉経年齢(50.5歳)を意識した50歳を検査のきっかけにしてみるのも良いでしょう。

受診する医療機関を探す場合は、DXAなど検査機器がある施設を探してみましょう。また、疾患のことや検査費用など分からないことは、遠慮なく医療機関に電話などで相談してほしいです。

人生を楽しみ尽くすためにまず骨密度検査を

閉経した女性に骨粗鬆症に対する意識などを調査したWebアンケート調査では、「(骨粗鬆症という病気を)知らない」と答えた人が0.7%にとどまる結果が出ています3)。このように骨粗鬆症は知られている病気ではあるのですが、日ごろ診療しているなかでは「なぜ女性は骨粗鬆症にかかるリスクが高いのか」「骨密度は下がり続けるだけでなく対策すれば上げていける」といった大事なところまでは理解されていないように感じます。

病気の予防・早期治療を目指す上で「女性の体は閉経したら女性ホルモンが急激に下がり、骨密度も下がる」ことは押さえてほしいです。病気の特性を理解できれば、骨密度が低くて治療に迫られても、前向きに治療に取り組めると思います。

「人生100年時代」といわれる現代は、女性ホルモンが分泌されない状態で生きていく期間が長期に渡る時代でもあります。閉経後の長い人生も楽しみ尽くすために、症状があってもなくてもまずは骨密度検査を受けて自分の骨の状態を知ることから始めましょう。

1) 骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会 編:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版.ライフサイエンス出版.2015,4.p4
2) Noriko Yoshimura, et al.J Bone Miner Metab 2009;27:620-8.
3) 阿部大介,ほか. :わが国における閉経後女性の骨粗鬆症に対する意識・実態に関するWebアンケート調査.日本骨粗鬆症学会雑誌5:267-276,2019

骨粗鬆症は検査ができます。まずは、骨の健康状態を知るために検査を受けましょう。
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