骨量(骨密度)は年齢によって変化します
骨量(骨密度)は男女とも幼少期から増え続け、20歳ごろに最大となります。骨量(骨密度)の最大値(最大骨量、ピークボーンマス)は子どものときにしっかり運動し、バランスの良い食事を摂取することで、できる限り増やすことができます。反対に、運動不足や偏食、過度なダイエットなどで最大値が低くなってしまう場合もあります。
20歳ごろ以降の骨量(骨密度)は40歳半ばまでほぼ横ばいとなり、50歳近くからは減少、特に女性は男性と比べて骨量(骨密度)が急激に減少します。これは骨量の減少する主な原因が、閉経と加齢であるためです。
骨強度を決めるもう一つの要素の骨質も劣化します。その要因として閉経や加齢のほか、他の疾患、治療で使用するステロイド薬などの影響が指摘されています。
骨量(骨密度)は検査で確認できます。若いうちから自分の骨量(骨密度)がどの程度か把握しながら、運動や食生活に気をつけて骨量(骨密度)の減少を緩やかにしていきましょう。検査の詳しい内容については「骨粗鬆症の検査・診断」をご覧ください。
骨粗鬆症の分類
骨粗鬆症のうち、閉経や加齢などによって起こるものは原発性骨粗鬆症、病気や薬が原因となって起こるものは続発性骨粗鬆症に分類されます。患者さんの多くは原発性骨粗鬆症ですが、閉経前の女性や男性が発症した場合は、続発性骨粗鬆症の可能性が高くなります。
原発性骨粗鬆症の原因
・閉経
女性の体の中では、月経(生理)が始まると卵巣などからエストロゲンと呼ばれる性ホルモンが分泌されます。
エストロゲンは、思春期にふっくらとしたからだつきになったり、乳房が発達したりする第二次性徴や、排卵を誘発するなど妊娠・出産の準備に関わっています。そして骨代謝においては、破骨細胞の働きを抑える働きをしています。
閉経によってエストロゲンの分泌が減少し欠乏すると、破骨細胞は活性化します。骨吸収が骨形成を上回ることで、骨量の減少が起きてしまいます。
・加齢
加齢による骨量の減少の理由には、老化によって腸や腎臓の機能が低下することで、カルシウムを吸収する能力なども低下して骨吸収が骨形成を上回ること、骨芽細胞の機能に異常がみられること、筋肉量や筋力が低下することなどが挙げられています。
このほか家族に骨粗鬆症にかかった人がいるかなどの遺伝的素因(遺伝的にある疾患になりやすい体質のこと)や生活習慣も影響を及ぼしています。骨粗鬆症に関わりのある生活習慣はカルシウムやビタミンD、ビタミンKなどの摂取不足、運動不足、喫煙、アルコールの過剰摂取などです。
続発性骨粗鬆症の原因
続発性骨粗鬆症の原因には以下の疾患が挙げられます。これらの疾患のうち、糖尿病や慢性腎臓病(CKD)は特に骨折のリスクが高いことで知られています。
内分泌性 | 副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、甲状腺機能亢進症、性腺機能不全など |
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栄養性 | 胃切除後、神経性食欲不振症、吸収不良症候群、ビタミンC欠乏症、ビタミンAまたはD過剰 |
薬物 | ステロイド薬、抗痙攣薬、ワルファリン、性ホルモン低下療法治療薬、SSRI、メトトレキサート、ヘパリンなど |
不動性 | 全身性(臥床安静、対麻痺、廃用症候群、宇宙旅行)、局所性(骨折後など) |
先天性 | 骨形成不全症、マルファン症候群 |
その他 | 糖尿病、関節リウマチ、アルコール多飲(依存症)、慢性腎臓病(CKD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)など |
原発性骨粗鬆症と類似の骨代謝異常をもたらす原因は多彩である。これらの原因については、病歴聴取や診察ならびにスクリーニング検査などを駆使して、慎重に検討することが重要である。
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会,編.第Ⅵ章 続発性骨粗鬆症 A.総論 表51 『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版』.ライフサイエンス出版,2015年,p126より許諾を得て転載
骨粗鬆症は「牛乳を飲めば大丈夫」と思っていませんか?
カルシウムは骨の材料ですから、骨粗鬆症を予防するためにしっかり摂取することが大切です。しかし、骨をきちんと作っていくためにはカルシウムの吸収を促進するビタミンDも併せて摂取する必要があります。そのため「私は牛乳を飲んでいるから大丈夫」という人も、ビタミンDが含まれている食材を食べているか、チェックしてみましょう。
ちなみにビタミンDは紫外線を浴びることで体内でも合成されるため、日光浴も有効な方法です。