60代以降
まず骨の検査で骨量(骨密度)を把握
60代以降、加齢・閉経などが原因となって骨量(骨密度)は年々減少していきます。そのためまずは骨を検査して骨の状態を把握し、運動・食生活を意識して骨量(骨密度)をできる限り減らさないようにしましょう。
検査
骨粗鬆症は基本的に無症状で進行する疾患で、痛みなどの症状が現れるときには既に骨粗鬆症による骨折が起きていることもあります。また、骨粗鬆症は誰にでも起こりうる疾患で、特に女性の有病率*は、年齢が高くなるほど増える傾向にあります。具体的には60代女性の5人に1人、70代女性の3人に1人、80歳以上の女性の2人に1人が骨粗鬆症といわれています1)。気になる症状がなくても検査で骨の状態を確認してください。
*人口全体に対して特定の疾患にかかっている人の割合
食生活
カルシウムとカルシウムの吸収を助けるビタミンDの摂取を意識しつつ、様々な食品を取り入れたバランスの良い食事を心掛けます。体重はやせ過ぎだと骨折リスクが高まり、太り過ぎだと続発性骨粗鬆症(病気などが原因となって起こる骨粗鬆症)や他の生活習慣病のリスクになるため、適正体重の維持に努めましょう。
食が細くて食事から十分に摂取することが難しい場合は、サプリメントなどで補う方法もあります。ただし、カルシウムは過剰に摂取すると高カルシウム血症など別の疾患を引き起こす恐れがあるので、骨の検査時にあわせて医師と相談してみるとよいでしょう。ちなみに、ビタミンDは紫外線に当たることによっても産生されるため、適度な日光浴(1日15分程度)を活用してください。
このほかアルコールの過剰摂取および喫煙は、骨粗鬆症など様々な疾患を発症するリスクとして知られているため、注意してください。
運動
運動は骨量(骨密度)を維持する上で有効とされています。また、骨折するリスクを招く「転倒」を予防する上で重要な、筋力・バランス能力を保つ目的もあります。
体への負荷が強い運動は転倒を招いたりして怪我につながる恐れがあります。ウォーキングやヒールレイズ(かかと落とし)、片足を上げて行うダイナミックフラミンゴ療法、椅子を使ったスクワットなど比較的安全に行える運動を継続して取り組みましょう。
その他
転倒を予防する上では、リスクをできる限り取り除くことが大切です。
自宅
- 部屋を整理する(物を出しっぱなしにしない)。
- 段差を解消する。
- 電気器具のコードに注意する。
- 足元がしっかり見えるよう、明かりを十分確保する。
屋外
- すべりやすい・脱げやすい靴は避ける。
- 万が一転倒した時に受身がとれるよう、両手に荷物を持たない。
- 手すりがある場面では、できる限り利用する。
- 歩行に不安がある場合、杖を活用する。
1)Noriko Yoshimura, et al.J Bone Miner Metab 2009;27:620-8.