骨粗鬆症は初め症状がないことがほとんど
骨粗鬆症は骨がもろくなる疾患ですが、ほとんどの場合、発症初期は痛みが出ず症状がありません。症状が現れるときには、既に骨粗鬆症が進行していることも珍しくないのです。
起きやすい骨折
自覚症状がほとんど現れない骨粗鬆症で、最も注意したいのが骨折です。
骨がもろくなっている状態では、つまずいたり転んだり、重たい物を持ち上げたときなどちょっとしたことで骨折することがあります。このタイプの骨折を脆弱性骨折(ぜいじゃくせいこっせつ)といいます。
骨折が起きやすい部位
骨折が起きやすい部位は背骨(椎体)や腕の付け根(上腕骨近位部)、足の付け根(大腿骨近位部)、手首(橈骨遠位端)などです。
背骨の骨折は気づきにくい
骨粗鬆症で背骨が折れる場合、スカスカでもろくなった背骨の一部が潰れるように骨折します(圧迫骨折)。体を動かすと他の部位と同様折れた箇所が痛むことがありますが、患者さんはその痛みが骨折によるものだと気づかないことがあります。
適切に骨折を治療しないと背中や腰が曲がってしまったり、身長が縮んだりしてしまったりすることがあります。
また、背骨の骨は一カ所折れたままだと、別の箇所の背骨の骨折が起きやすくなります。これをドミノ骨折といい、背中や腰の曲がるリスクが高くなってしまいます。
背中や腰の曲がりがひどい場合は、臓器が圧迫されることで胸焼けや息切れといった消化器、呼吸器に関連した症状も現れることがあります。
骨粗鬆症かどうか気になる方は病院へ
ご自身やご家族が骨粗鬆症の症状(背中や腰の曲がりや痛み、身長の縮み)か気になる場合は、以下のイラストを参考にしてください、こちらに当てはまる場合は背骨の骨折が起きている可能性がありますので、早めに病院を受診してみてください。
1) Vogt TM, Ross PD, Palermo L,et al.Vertebral fracture prevalence Among Women Screened for the Fracture Intervention Trial and a Simple Clinical Tool to Screen for Undiagnosed Vertebral Fractures. The Fracture Intervention Trial Research Group.Mayo Clin Proc 2000;75:888-96
身長の縮みや腰の曲がり、本当に年のせい!?
年をとると身長が縮んだり、腰が曲がったりするのは当たり前だと思う方もいるかもしれません。しかし、骨粗鬆症は背中の骨折が起きやすく、実際に25歳の身長から4cm以上低下していた場合は背中の骨折が起こっているリスクは2.8倍になるという研究結果があります1)。
骨粗鬆症かどうかは検査で調べられますし、治療法もあります。既に身長低下や腰の曲がりが気になっている方は、「年のせいだから…」とあきらめずにまず病院を受診してみてください。