1. 骨に関する質問
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Q1. 「骨代謝」という言葉を聞いたことがあります。どういう意味でしょうか。
A1. 骨は一度できたら終わりではなく、常に古い骨から新しい骨に作り替える新陳代謝を繰り返しています。この新陳代謝を「骨代謝」と言います。別名は「骨リモデリング」です。
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Q2. 骨密度とはなんですか。
A2. 骨密度はカルシウムなどのミネラルがどれだけ骨の中にあるかを示すもので、骨の強度に影響を与える重要な要素です。
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Q3. 骨の量は一生変わりませんか。
A3. 骨量(骨密度)は変化します。具体的には幼少期から増え続け、20歳ごろに最大を迎えます。腰椎では、その後40歳半ばまで横ばいで推移し、50歳前後から減少し始めます。大腿骨近位部(足の付け根)では、20歳以降減少し始めます。骨量(骨密度)は女性ホルモンの低下に伴い減少するという特徴がありますので、特に女性は閉経を迎えると、男性と比べて急激に減少していきます。骨量(骨密度)が減少する程度は個人差があります。
2. 骨粗鬆症に関する質問
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Q4. 骨粗鬆症ってどんな病気ですか。
A4. 骨量(骨密度)が少なく、また骨の質(骨質)が劣化することで骨がもろくなり、骨折が起きやすい状態、あるいは骨折が既に起きている病気のことです。
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Q5. 骨粗鬆症の原因はなんですか。
A5. 骨粗鬆症の原因は複数あり、主なものとして加齢と閉経が挙げられます(原発性骨粗鬆症)。また、病気や薬が原因となって骨粗鬆症を発症することがあります(続発性骨粗鬆症)。
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Q6. 骨粗鬆症になりやすい人はいますか。遺伝しますか。
A6. 骨粗鬆症は年齢が高くなるほど、有病率(人口全体に対して特定の疾患にかかっている人の割合)が増える傾向にあります。また、原因の一つに閉経があるように、女性に多くみられます。
家族で骨粗鬆症を発症した人がいる場合、遺伝的素因(遺伝的にある疾患になりやすい体質のこと)があると言われています。特に、家族に大腿骨近位部骨折を起こした方がおられると骨粗鬆症に伴う骨折の危険性が高くなることが示されています。
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Q7. 女性が骨粗鬆症になりやすいと聞いたことがあります。本当ですか。
A7. 本当です。日本国内の骨粗鬆症の患者数は推計1280万人で、内訳は女性980万人、男性300万人とされています。このことから、特に女性に身近な病気であると言えます。
その要因は、女性の体の中では、月経(生理)が始まるとエストロゲンと呼ばれるホルモンが分泌されます。エストロゲンは骨の新陳代謝(骨代謝)において、破骨細胞(古くなった骨を溶かす細胞)の働きを抑える働きがあります。閉経によってエストロゲンの分泌が減少すると破骨細胞が活性化します。その結果新しい骨を作るスピードが追いつかず、骨量が減少して骨粗鬆症を発症するリスクが高くなります。
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Q8. 男性でも骨粗鬆症になりますか。
A8. 男性でも発症する可能性はあり、実際に国内では推計300万人の男性患者さんが存在すると報告されています。
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Q9. 骨粗鬆症になると、どのような症状が起こりますか。
A9. 骨粗鬆症はほとんどの場合、発症初期に痛みが出ず症状が現れません。そのため症状が現れるころには既に骨粗鬆症が進行していることも珍しくないのです。
また、日常生活のちょっとした動作(重たい荷物を持ち上げる、つまずいたり転んだりするなど)で骨折することがあります。骨折が起きやすい部位は背中(椎体)や腕の付け根(上腕骨近位部)、足の付け根(大腿骨近位部)、手首(橈骨遠位端)などです。
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Q10. 身長が低くなったと指摘されました。骨粗鬆症と関係がありますか。
3. 骨粗鬆症の検査・診断に関する質問
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Q11. 骨粗鬆症になっているのではないかと心配です。どこで検査したらよいですか。
A11. 主に整形外科で検査を受けられます。まずは検査を受けられる医療機関を検索し、相談してみましょう。
骨の検査(DXA検査)が受けられる病院を探す(外部サイトへジャンプします)
また、40歳以上の女性を対象とした国が行う「骨粗しょう症検診」もありますので、お住まいの自治体のホームページ等を確認してみてください。
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Q12. 骨粗鬆症を診断する際、どのような検査が行われますか。痛くないですか。
A12. 骨量(骨密度)を調べる検査(骨密度測定)は、以下の大きく2種類に分けられます。
・ X線を用いる方法…二重エネルギーX線吸収法(DXA)、MD法
DXAは最も精度が高い検査で、背骨や足の付け根、手首などにX線を当てて測ります。MD法は被ばく量が少なく一般的なX線撮影装置で簡便に撮影でき、測定部位が手のひらの骨(人差し指の付け根から手首までの骨)になります。・ 超音波を用いる方法…定量的超音波測定法(QUS)
QUSは短時間で簡便に測定できる検査法で、通常かかとの骨に超音波が伝わる速度で骨量を計測します。いずれも検査自体は長くても10分程度で終わります。痛みはありません。
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Q13. 骨粗鬆症の診断で、血液を採取されることはありますか。
A13. 骨粗鬆症の診断ではありませんが、骨の状態を調べたり治療薬を選択するために用いられる「骨代謝マーカー」という検査方法で血液や尿を採取されることはあります。
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Q14. 検査を受けるとき、どんな服装で行けばよいですか。
A14. DXAの場合、検査機器に仰向けになって膝を立てるなどの動作があるため、動きやすい服装がいいでしょう。場合によっては検査着に着替える場合もあります。
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Q15. 骨粗鬆症の検査は何歳ごろから受けた方がいいですか。
A15. 骨粗鬆症は発症しても自覚症状のないことが多く、骨折が起きるまで気づきにくい疾患です。そのため骨量(骨密度)が低下してくる40歳ごろから定期的に検査を受けて、自分の骨の状態を把握しておきましょう。
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Q16. 骨粗鬆症の検査に予約は必要ですか。また、検査費用はいくらですか。
A16. 予約があらかじめ必要な場合があり、医療機関によって用いる検査方法は異なります。事前に受診したい医療機関のホームページを確認したり、電話で問い合わせてみてください。検査費用は医療機関によって異なります。また、保険適用外(全額・10割負担)となる場合があるため事前に確認しておくとよいでしょう。
4. 骨粗鬆症の治療・予防に関する質問
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Q17. 骨粗鬆症と診断されました。治療は受けるべきですか。
A17. 医師と相談し、治療が必要と言われた場合は、治療しましょう。骨粗鬆症は骨折が起きやすい疾患で、骨折が起こると日常生活に大きな支障が出る場合があります。骨粗鬆症と診断されても、早期に治療できれば骨折を防いでQOL(生活の質)を維持できる可能性が高まります。
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Q18. 骨粗鬆症は運動や食生活の改善だけで良くなりますか。
A18. もちろん食生活や運動で改善していくことは大切ですが、基本は薬物療法で治療し、並行して食事や運動を意識することが重要です。治療を開始する際は医師と相談しながら治療を進めましょう。
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Q19. 骨粗鬆症を治療(予防)する上で食べてはいけないものはありますか。
A19. コーヒーや紅茶などカフェインを含む食品やアルコールなどを過剰に摂取することは控えましょう。喫煙している場合は骨粗鬆症だけでなく様々な疾患の発症リスクが高くなるため、禁煙を心掛けてください。
また、スナック菓子やインスタント食品等に多く含まれているリンは、摂り過ぎるとカルシウムの吸収を妨げる働きがあるので注意しましょう。
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Q20. 骨粗鬆症の治療のために定期的に病院へ行くのが大変です。治療を続けなければいけませんか。
A20. 骨粗鬆症の治療は続けていただくことで効果が発揮されます。途中で骨粗鬆症の治療をやめてしまうと骨折の予防が難しくなり、QOL(生活の質)を保てない恐れがあります。治療薬のタイプによって治療の間隔が異なりますので、医師とよく相談しながら自分に合った治療薬を選んで継続できる方法を見つけていきましょう。
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Q21. 骨粗鬆症の治療薬にはどんなものがありますか。
A21. 骨粗鬆症の治療薬は主に4種類あり、治療薬ごとに骨を強くするメカニズムが異なり、飲み薬や注射薬などのタイプに分けられます。服用(投与)する間隔は治療薬ごとで変わります。
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Q22. 骨粗鬆症治療のために運動を勧められましたが、骨密度の数値が低いので骨折するのではないかと心配です。どの程度の運動が適切ですか。
A22. 骨は負荷がかかることで強くなる性質がありますが、負荷をかけすぎると骨折したり、体を痛めたりする可能性があります。比較的安全に行える運動としてウォーキングのほか、ダイナミックフラミンゴ療法(片足立ち)、スクワット、ヒールレイズ(かかと落とし)などがあります。医師と相談しながら無理のない範囲で運動を継続していきましょう。
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Q23. 骨粗鬆症予防のために骨を強くしたいです。どのようなことを行ったら良いですか。カルシウムを摂っていれば丈夫になりますか。
A23. 骨を強くするためには、様々な食品をバランス良く取り入れた食生活と適度な運動を意識することが大切です。
カルシウムを摂取することはもちろん重要ですが、カルシウムの吸収を促進するビタミンDもあわせて摂取してください。高齢の方で食が細くなっている場合、食事から十分な量のカルシウムやビタミンDの摂取が難しいかもしれません。その場合はサプリメントなどで補う方法もあります。ただし、カルシウムの過剰摂取は高カルシウム血症や高カルシウム尿症、尿路結石などを引き起こす可能性があるため、医師とよく相談して服用するか判断しましょう。
ビタミンDは皮膚に紫外線を当てることで、体内で生成することができます。天気が良い日に15~30分程度、直射日光を浴びるよう心掛けてください。