骨折は高齢者の方にとっては大きなリスク
骨粗鬆症は、高齢の方が骨折する大きな要因です。高齢の方に背中の骨折(椎体骨折)や足の付け根の骨折(大腿骨近位部骨折)が起こると、日常生活に支障が出たり、QOL(生活の質)が悪化したりすることがあります。
例えば背中の骨折では腰が曲がることがあり、曲がっている箇所周辺の筋肉が緊張して痛みが生じます。痛みや腰の曲がりは体の動きを制限してしまうため、着替えにくい、歩きにくいなどADL(日常生活動作)の低下を招きます。
また、足の付け根の骨折は、より直接的にADLの障害となります。治療してもリハビリがうまくいかないなどから、寝たきりにつながるリスクもあります。
骨折は介護が必要になる主な原因の一つ
骨折は、実際に介護が必要になる原因の一つとして知られています。
厚生労働省が行った調査では、「65歳以上の方が要介護者(※)となった主な原因」として運動器の障害(「転倒・骨折」「関節疾患」)が「認知症」や「脳血管疾患」、「高齢による衰弱」を抜いて最も多く、女性に限れば運動器の障害は全体の約3割を占めています。
※要介護状態である65歳以上の方を指します。要介護とは、「入浴、排せつ、食事等の日常生活の中でどの程度の介護・介助を必要とするのか」という介護の必要度合いをあらわすものです。
検査・検診で早期発見・早期治療を
骨粗鬆症は気づかないうちに進行してしまう病気です。骨量(骨密度)は女性ホルモンと強く関連しており、閉経に伴って女性ホルモンが減少すると、骨量(骨密度)も減少することがわかっています。症状が出ていなくても、骨粗鬆症は誰にでも起こりうる可能性がありますので、定期的に検査・検診して骨の状態を確認することは重要です。また、骨粗鬆症だったとしても早めに治療を始めることができれば、骨折するリスクを下げることができます。末永く健康な状態を保つためにも、ぜひ検査・検診を受けてみてください。
高齢者だけではありません。骨粗鬆症は若い方にも関係があります。
骨粗鬆症は特に高齢の方に注意してほしい疾患ですが、若い方が完全に無視してよい疾患とは言えません。
骨量のピークは一般的に20歳代で、その後40歳代ごろ(女性であれば閉経)までは骨量を維持しますが、それまでの食生活や運動習慣の影響で、そもそものピークが低くなってしまう可能性があります。そのため今の骨の状態を知るためにも、若いうちから検査を受けておきましょう。また、骨は運動や食生活を意識することで改善が可能ですので、若いうちから骨粗鬆症の予防にも取り組みましょう。