あなたの骨粗鬆症リスクは?
チェック方法3つを紹介
骨折のリスクがある骨粗鬆症はほとんどの場合、発症初期に症状が現れない疾患です。気づかないうちに骨が脆くなってちょっとしたこと(つまずく、転ぶ、重たい荷物を持ち上げる など)で骨折してしまうと、日常生活の動作に支障が出ます。また、治療も骨粗鬆症と骨折に対してそれぞれ行う必要があり、患者さんにとって大きな負担となります。
骨折しないためには、骨粗鬆症の予防とその疾患の 早期発見が重要です。実は、年齢や体重、身長、姿勢などから骨粗鬆症のリスクもしくは骨粗鬆症による骨折が起きているか、簡便にチェックする方法(自己評価ツール)があります。今回は3つを紹介するので、ぜひ活用して当てはまる場合は医療機関を受診してみましょう。
1. 年齢と体重から予測する「FOSTA」
Koh LK, Sedrine, WB, Torralba TP, Kung A, Fujiwara S, Chan SP, et al. A simple tool to identify asian women at increased risk of osteoporosis.Osteoporos Int.2001;12(8):699-705を基に作図
体重と年齢を組み合わせるだけで骨粗鬆症のリスクを予測できるツールがFOSTA(Female Osteoporosis Self Assessment Tool for Asia)です。
計算法は、体重から年齢を引いたものに0.2を掛けます。答え(FOSTA指標、小数点以下は切り捨て)がマイナス4未満であれば、骨粗鬆症の高リスク群になるため該当する方は早めに骨密度検査を受けてみましょう。
FOSTAで骨粗鬆症のリスクを計算してみましょう
以下の計算式に体重と年齢を入れるとFOSTA指標を計算できます。
※入力は半角数字で行ってください。
( (kg)- (歳)) × 0.2 =
あなたは骨粗鬆症のです。
FOSTA指標とリスク群
- マイナス4未満:高リスク群
- マイナス4~マイナス1:中リスク群
- マイナス1より大きい:低リスク群
骨粗鬆症の高リスク群に該当する方は早めに骨密度検査(DXA検査)を受けてみましょう。
2. 身長と姿勢から調べる「ワン・ツーチェック」
骨粗鬆症による骨折が背骨で起きた場合、痛みもなく気づきにくい という特徴が挙げられ、背骨の骨折は3分の1しか見つけられていないという研究結果もあります2)。
骨折を放置すると背中や腰が曲がったり、身長が縮んでしまったりすることがあります。上記のチェック方法にご自身もしくはご家族が当てはまる場合は、背骨が骨折している可能性があるため早めに病院を受診してみてください。
3. 将来10年間の骨折リスクを評価する「FRAX®」3)
WHO(世界保健機関)が作成した評価ツールがFRAX®(fracture risk assessment tool)です。
12個の質問(年齢、性、体重、身長、両親が大腿骨近位部を骨折したことがあるか、喫煙の有無など)にチェックもしくは数値を入力することで、個人が将来10年間で足の付け根(大腿骨近位部)や腕の付け根(上腕骨近位部)、手首(橈骨遠位端)、背中(痛みを伴う椎体)を骨折する確率(%)を導き出せます。
ちなみに、75歳未満の方は、FRAX®の10年間の骨折確率が15%以上で骨密度がYAM(若年成人平均値。腰椎では20〜44歳、大腿骨近位部では20〜29歳)の70%より大きく80%未満だった場合、骨粗鬆症の薬物治療の開始基準となっています。
ご自身の将来10年間の骨折リスクを下記サイトで早速チェックしてみましょう(所要時間は1分程度です)。
※外部サイトへ移動します
1)鈴木隆雄. 骨量の自然史と骨粗鬆症, 骨折の予防戦略. 日臨床 2004; 62(増2):225-32.
2) The epidemiology of vertebral fractures. European Vertebral Osteoporosis Study Group. Cooper C,et al, Bone 1993; 14: S89-97.
3) WHO scientific group on the assessment of osteoporosis at primary health care level. World Health Organization.
【しっかり調べるには骨密度検査を!】
以下で紹介するチェック方法は、あくまで骨粗鬆症を発症するリスクなどを知るための目安です。
実際に骨粗鬆症かどうか調べるためには、医療機関で骨の量(骨密度)を測定する必要があります。セルフチェックで気になる結果が出た場合は、医療機関へ相談してみましょう。
また、女性は閉経を機に骨密度がガクッと減少します。1)チェックして骨粗鬆症のリスクが高かった方だけでなく、40代から骨密度検査の受診を意識してください 。